平成 11年 11月 3日 加須警察署副署長・向井氏との会話テープから… | |
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副署長 | 今日は奥さんの手紙が本部長へ届きましたので、本部の方からですね、「いつまでも奥さんの精神的ショックの状態を続けさせないように警察では出来る限りのことをやりなさい。」
という話がありまして手紙を貰ってからちょっと日にちが経っちゃって申し訳なかったんですが、今日お邪魔させて頂きました。 奥さんの方でテープに録音するということで、一応私の方も経過を本部に報告しなければならないのでメモを少年の係長に取らせて頂きますので、その辺だけはご了解ください。 これはあれですか?テープは何かにお使いになるんですか? |
母 | 言った・言わない、ということにならないように録音させて頂きたいと思いまして。 |
副署長 | 私の場合は言ったことは、「言った」、言わなかったことは、「言わない」
ということでしっかりやりますのでね。 被害者本人、本人はお亡くなりになりましたけれどね、とか家族に対するケアというか精神的ショックというのは、昔からあった訳です。 誰でも同じ状態だったんですね、そのような常態があった中で、本来警察的には現象面の事件を捜査して、犯人を捕まえると、あと犯罪の予防するというのが仕事なんですけど、被害者に対するケアというものも、やっぱり重要性というものが叫ばれてきたと。 当然ですから、「被害者の会」 の方達も純粋な意味で、「被害者達に対する保護整備が出来てない。」 という趣旨で活躍・活動されていると思います。 そういう意味で我々の立場としては、本来我々の活動というのは、法的にはない訳ですよね、被害者に対してどういうことというのは。 ですから法整備されてない中で、なるべく被害者の心情をカバーしましょうと、一つの組織を作って、刑事事件であっても少年事件であっても出来る限り相談に応じましょう場合によっては訪問しましょうと、いうようなのが警察の組織なんです。 今回本部から手紙のコピーを貰っています。この中で可能な限り、警察に対して、または今までの制度に対して、不満な点、又は何か知りたい点があれば出来る限り回答したいと思いまして来た訳なんです。 疑問点ということであれば、一つ一つ回答致します。 |
母 | 第一点に死亡時刻の問題です。 私が取り寄せた資料の中には死亡時刻が特定されていない。特定されずに送検し審判が下されている。 やはり親としては、何時にどこで亡くなったのか、それを特定して供養をしてあげたい。 |
副署長 | その前にですね、この記録というのは弁護士さんから入手したわけですよね。 合法的に入手されたのであれば、知識として同じ知識を持っていなくてはならない。それを前提にお話させて頂きます。 まず、死亡時間の特定の方法なんですけど死体検案書、あれは埼玉医大で書いてますよね。 埼玉医大で書いたというのは、死亡時間というのは、もしですよ、関係者が全くいなかった場合の想定をします。 まず、いないということ、ここに亡くなった方一人いた時、その時の法医学上の判定の仕方というのがあるんです。 いなかった場合、今回は関係者がいて、司法解剖泣く泣くご承諾頂いたんですが。 もし、いない場合には法医学上の判断の仕方の基準というのがあるんです。 それは、体温・体の色・細かくいえば血液が下に下がってきます、体が固まってきます、硬直というんですが、そういうものを総合的に判断して、法医学上推定何時ころと出すんです。 ですから、我々の捜査と埼玉医大では別の行動を取るんです。 当然時間のずれは出て来るのは不思議じゃないんです。 多分、あれは一時でしたっけ?午前一時。 警察の捜査では二時半以降。まっ三時以降とか。 |
母 | それは、文章ではきちんと書いていらっしゃいますか? |
副署長 | 関係者の調書あるでしょ。 |
母 | 関係者の供述調書の中ではそのようなことは書いてありますが。 |
副署長 | この調書の中に参考人の調書はありますか? 参考人というのは、いわゆる被疑者じゃない人達、搬送したグループは何人いますか? |
母 | 7人いますよねその他に I.(少年) |
副署長 | そうそう I.(少年)。奥さん名前判ってらっしゃる I.(少年) とか何人かの調書で友樹さんの状態についての表現があったでしょう? |
母 | それはあくまでも関係者の証言としての表現ですよね。 |
副署長 | そうです。それで被疑者グループについては (リンチ後、友樹が放置された) S.駅前の友樹さんの状態についての表現は、ないんです。 |
母 | 多少触れてますよね。 |
副署長 | まっ多少触れているけれども、じぁ、動いてたとか言葉を発してたとかの表現は何もないんですよ。 結局、3時過ぎとか、という表現は、いわゆる参考人の関係から、「その頃ではないのかな。」 という判断をしたわけです。 |
母 | それで判断して、加須警察が検察へ書類を送るわけですよね。 その書類の中で、加須警察の意見として、「何時頃死亡したのではないか」 ということは特定してないんですか? |
副署長 | それまでは、しないんです。 なぜかと言うと、犯罪というのは着手というか、犯罪はいつやったかというのは、手を付けた時間を始まりにするんです。 ですから、その時間を特定するんです。 例えばお宅に泥棒が入ったとしますと、玄関のガラスを破った時間を犯罪の実行時間として捉えるんです。 ずーと部屋の中を荒らし回って、出てきた時間までは、犯罪の事件を裁く上で必要ないんです。 逆にいえば、 3日も 4日も経っていても医者の前で亡くなれば特定出来るんです。 そのへん難しい問題はあるんですが、今の法律上死亡時刻を特定しなくても裁けるんです。 |
母 | でも、死亡時刻というのは、友樹の事件の場合は、すごく重要だと思われるのですが。 例えば、「司法解剖の立会い報告書」 の中に、生活反応が殆どない傷・極めて生活反応の弱い傷という記述が何箇所かありますよね。 でも、あの中に死亡時刻についての記載が一切ありませんよね。 |
副署長 | ない、ない。 |
母 | でも、何人かの方に伺ったことですが、あの
「司法解剖の立会い報告書」 というのは、教授の方が言葉を説明しながら解剖する。 それを、立ち会った警察官なり病院の方々がメモを取って、報告書を作成する。 そうですよね。 ということは、教授が言ったすべてのことが、あの報告書に記載されていなければおかしいはずですよね。 |
副署長 | いやいや、それは改めて鑑定書というのが出来ますから、出来た段階で家裁に送致されますから。 鑑定書というのは出来るまですごく時間がかかるんです、間もなく出来ると思いますが。 我々も最初に直接死体を見ますから、見たなりの報告書が入っているでしょ。 これと教授が見たときの状況はとりあえず、どうなのか?というのがあの 「司法解剖の立会い報告書」 なんです。 |
母 | でも、死体検案書の中に死亡時刻が一時頃と記載されているということは、解剖した教授が死亡時刻について触れなかったとは思えないのです。 |
副署長 | それはね時間を特定するためのものではないんです、解剖は。 解剖の中で死体検案書には、法医学上の見地から何時頃でしょうと書く訳です。 ですから、「頃」 というのは、もうどんどん死の時間から経てば、ずれが出て来るんです。 はっきり言ってですね、人が見てない限りずれてきちゃうんです。これは止むを得ないことで。 |
母 | 何人かの調書を見たという方に聞いた事なのですが、 「司法解剖の報告書」 には、死亡時刻に触れてない報告書は今までになかったと。 |
副署長 | いや、そんなことないです。鑑定書にも書いてないと思います。 それはですから、じぁこれからあの報告書に触れてないということで、疑問点は、これから大学の先生の鑑定書を見て貰えば判ると思います。 間もなく来るということですから。 それを見れば警察官があえて書かなかったのか、触れなかったのかというのは、これからの問題ですから、そのへんはもう少し待ってもらえば。 それでもし、弁護士さんを通じて手に入るのであれば手に入れて見て貰えばいいと思うんですよ。 で、触れてないはずです。これからも触れないと思います。 それは、触れるのは死体検案書で触れてきます時間については。 とりあえず納得できないかもしれませんが、これで終わりにして頂いて、全部これから私が説明することは、ある一つの結論に結びつきます。 とりあえず納得しないでしょうけど、私が、向井が言ったぞと。いうことで。 |
母 | では、とりあえず加須警察は 「検察に送った資料の中では、死亡時刻は特定していなかった。」 ということは事実ですね。 |
副署長 | はい、そうです。 |
母 | わかりました。 A少年の携帯電話は、なぜ任意提出されていなかったんでしょうか?。 |
副署長 | 入ってるでしょ。 |
母 | いや、ないでしょう。 |
副署長 | 入ってますよ、ですから奥さんがどの程度の書類まで見たのかな?と思いましてね。 A少年の携帯電話は 5月 16日に提出されてますよ。私は確認してるんですから。私は見ましたから。 追送になってますからね。最初は送ってないかもしれませんけどね。 |
母 | 他の加害少年は県警の少年課の方とかが捜査に加わっているのに、なぜ A少年だけ最初から最後まで一人の警察官しか捜査に当たってないのですか? |
副署長 | 他の人も大体そういう人が多いでしょう? |
母 | いえ、殆どの場合は県警の少年課の方が一緒に入ってますね。 |
副署長 | なぜかというのは、誰が調べても構わないのです。 刑事が調べれば毎日変っても、ただ、毎日変ったら前の日の彼の供述が判らなくなるでしょ。 基本的には一人で調べるというのが原則で、なるべく一人で調べるようにしてます。複雑な事件ほど一人の方が良いんです。 それで、警察にこの質問をする前に弁護士さんに聞くとかしました? 少年の審判の制度はどうなっているのかお聞きになりました? 流れがどうなっているのかとかお聞きになりました? その点が理解できてないと、この中に矛盾した質問がいっぱい入ってきちゃうんです |
母 | そうですか、私も素人ですから。 |
副署長 | そうでしょうね。明らかにそう思います私も。 素人さんだったら、素人さんが質問すれば、今私が言った時に納得出来なくても、「そういう方法でやっているです。」 ということになればそういうことなんですよ。 |
母 | そうですか。素人には素人に判るように説明して頂くのも、警察としての義務だと思います。 |
副署長 | だから、先程の時間についてはここまでにして下さいと、後はみんな最終的結論に関連しますよ。と、 今の問題は一人で調べようと二人で調べようと構わないけれど、複雑な事件ほど一人の方が良いということなんです。 携帯電話については、任意提出されてます。と、 |
母 | 清水生活安全課長が (私たちの家に) 調書を取りに来た時の態度については? |
副署長 | 本来、調書というのは言ったことをそのまま書くのが調書なんです。 彼の説明は間違いなんです。 |
母 | 警察官が調書を取っている最中に帰ろうとしたことについては? |
副署長 | その点、清水に確認したところ 「これを入れなければサインしない。」 と言われれば調書を取れないので、帰るほかない。と |
母 | そんなことは言ってません。「審判では意見を述べられないので、お二人の正直な心境を聞かせて下さい。 奥さんも同じ気持ちでしょう?」 と聞かれたので 「いえ、私には彼等が口裏を合わせているとしか思えません。」 と申したところ 「そんなことは書けませんよ。供述調書というのは言ったことをそのまま書くものではないんです。」 とおっしゃるので 「では警察は加害者の言ったことはそのまま書いて、被害者の言ったことは書けないとおっしゃるんですか?」 と伺ったところ 「奥さんがそんなに警察が信じられないと言うのでしたらもう良いです。」 と言って帰ろうとしたのです。 |
副署長 | そういうことであれば、もう一度清水に確認してみます。 |
母 | 私が警察に行った時、清水生活安全課長が必要以上に友樹のことを悪く言ったことについては? |
副署長 | 「必要以上に」 というのはどういうことですか? |
母 | 飯島君は不良少年であり、当然 I.町の連中とも交流があった。と |
副署長 | 不良少年と表現したんですか? |
母 | はい、はっきり申しました。 |
副署長 | ふーん。まっ不良少年と言ったのであれば、ちょっと言葉としては適切ではないと思いますので、良く指導はしたいと思うんですね。
あと何かないですか? もう何でも言って下さい。 みんな否定されてしまって不満でしょうけど。 |
母 | 教授が書かれる鑑定書にも、「死亡時刻は触れないだろう。」 とおっしゃることについて、なぜそう思われるのですか? |
副署長 | いや鑑定書は今まで私何回も見ていますから、触れているのもあるかも知れませんし、触れないのもあるかも知れません。 あれには死体検案書を教授が書いちゃってますから。自分で死体検案書を。 で、それはちょっと、奥さん。 |
母 | 友樹の場合、死亡時刻はすごく重要だと思われるのです。 |
副署長 | それはね、奥さんちょっと戻ります。ですから結論で言いますから。 他に質問があれば、それからその事件で最終的に戻ってもらって結構なんですが。 |
母 | 私が一番知りたいのは、どこで、何時に亡くなったのか? |
副署長 | それは結局、何時というのは結論が出ないということなんです。 |
母 | 結論は出ない? |
副署長 | そう、ですから死体検案書の時間も 「頃」。関係者の供述にしても 「頃」 で時計を持っていた訳じゃないですからね 「頃」 といっても参考人はね。 |
母 | 加害者の少年達にしてみれば、もし 一時に亡くなったのが本当であれば、そうですよね。 一時頃まで暴行を加えてた。生活反応の殆どない傷というのがある。 救急救命士の方の証言でも 「 4時 6分に現場到着した際に、もう死後硬直がかなり進んでいて、心肺停止からかなりの時間が経過していると感じた」 とおっしゃっていますよね。 |
副署長 | まっ、「かなり」 と云うのがどの程度か、死後硬直というのは死後 一時間で出てきます。 |
母 | 一時間で出てくるんですか? |
副署長 | 出てきます。指の所から出てきます。 |
母 | 指がですか? |
副署長 | 末端から、あごだとか。 |
母 | 頸 (けい) 部の死後硬直はどの位から出てくるのですか? |
副署長 | それは、もう気候によってケースバイケースです。 死後硬直はですね、死体現象というのは、もうまったくケースバイケースです。 気候とか。 |
母 | では、あの日のあの時間帯、気象もわかってますよね。 |
副署長 | そう、だから何時頃出てくるというのは、もう 「早い物では、これ位から出てきますよ。」 というのがあるだけで、時間はあくまでも特定出来ないということなんです。 |
母 | では、あくまでも 一時間で死後硬直が出てくると、加須警察ではおっしゃるんですね? |
副署長 | いや、いや、そうじゃない。出てくるのもありますよ、ということです。 あの場合を言っている訳じぁないです。 |
母 | では、あの場合の可能性として、あの日のあの時間の・・・ |
副署長 | それはだから、「あの時に出てきても不思議でない。」
「出なくても不思議でない。」と。 じゃあ、消防士の 「心肺停止からかなり・・・」 と言うのは何時間くらいなのか? じゃあ彼にもう一回聞いて、「かなりってあなた何時間ですか」 て言われたら、「かなりです」 と、「ケースバイケースです」 と。 硬直があった、彼等も硬直ということについて判りますよ。 素人でも、「あっ指硬くなって来てるな」 って判りますよね。 救急救命士が死後硬直について、「これは、(死後) どの位だ。」 と言われた時に、断言出来るかと言ったら医者だって出来ないです。 法医学の勉強した医者だって出来ない。 一般的に何時間位から来ると、硬直が解けるのが何日位から解けますと。 一般的ですと、ですからそれは断言できませんと。 法医学上でも絶対出て来ないのです、 何時間から出て来るというのは。 |
母 | 一般的には 「2〜3時間後位から」 と聞きましたが。 |
副署長 | うん、それでですね、ですから奥さん、そのことについて最後に私説明しますから。 なぜって警察にこのことを一生懸命質問してますが、そのことについて説明しますから他の項目があれば関連しますので、最終的に回答します。 せっかく来たんですから質問してください。 |
母 | では逆に、その文章の内容で 「こういうことについては、こう説明したい」 ということはありますか? |
副署長 | いや、私ないんです。 というのは、聞かれたら説明すると。
捜査について云々という問題について、最終的に審判が下ってますから、今遡って捜査を云々で私が説明するつもりはないんです。 審判が下りた事件について 「なぜこうだったのか」 ということが聞きたいということであればお答えしたいと思います。 それが私の説明する立場じゃない項目がほとんどなんですこの項目は、警察としてですよ。ただ被害者の方たちに、困っている人達に対して説明するということであれば、ある程度我々も法律の専門家ですから、「こうなってますよ」 と説明は致します。 ということで今日は来たんですよね。 |
母 | では、「友樹の携帯電話が死亡時刻以後も使われている。」 という事も、もちろんご存知ですよね? |
副署長 | 死亡時刻以後、というのは何時頃ですか? |
母 | ですから死体検案書には 「午前 1時頃。」 となってますけれど、2時頃にも使われているのですけども。 |
副署長 | それはどこに出て来たんですか? |
母 | それは、清水生活安全課長が 6/21 に主人の供述調書を取りに来た際お話しをして、メモをして帰りました。 ご覧になってませんか? |
副署長 | それはちょっと判りません。 |
母 | 『友樹が携帯電話を持っていた』 ということは最初の時点で 清水生活安全課長には・・・ |
副署長 | うん、判ってました、でっ探したんですけどね。 |
母 | 警察の方で、「通話明細を調べてない」 というので、私の方で取り寄せました。 |
副署長 | ただね、この電話が見つからないんですよ。当時あの辺を探したんですが、ないんですよね。 |
母 | 見つからない場合は、警察はどこまで捜査するのでしょうか? |
副署長 | 探しますよ。 |
母 | 探すけれども、こういう通話明細までは取らないんですか? |
副署長 | うん、通話明細は、この辺はちょっと私もしてませんでしたけど。 で、通話明細がないことがどういうことなんですか? |
母 | 死亡時刻以後、友樹の携帯から発信された 最初の
3 件は無言電話だったそうです。多分友樹の携帯のメモリから女の子の名前が出て来たので、興味本位で掛けたのだと思われます。 次の 1 件は友樹のお友達でした。確認をしたところ、「携帯に友樹の番号が表示されたので出てみると、声が違っていたので、『誰?』 と聞くと、誰じゃあネェよ…」 と会話があったそうです。 ですから、彼らが使用していたのは明白です。 最後の 4件の通話先が判らないので、清水生活安全課長に 「調べて下さい」 とお願いしたのです。 |
副署長 | じゃあ、これ調べてみましょう。 |
母 | お願いします。警察権を使えば出るそうです。 |
副署長 | 後は何か奥さん。 私も、「被害者の会」 の活動については、純粋な団体ということで、色々活動の事例なんかも読ませていただきましたけど。 あの中で非常に多いのが親の心情的には、なぜ殺人事件として扱われないのか? ということがありましたが、当時は納得出来なくても納得できましたか? |
母 | いえ、未だに納得してません。 |
副署長 | そういう問題もありますね。それから、なぜ逆送しないのか?これもまだ? |
母 | 納得できません。 |
副署長 | こういう件はですね、弁護士さん入ってますよね。聞いてみました?弁護士さんに。 |
母 | 弁護士さんじゃなくて、警察としてはどのようにお考えなんですか? |
副署長 | いや、だから聞いて納得できないのか、で、警察に聞くのか。まっ、納得できないから聞くんでしょうけど。 |
母 | ええ。 |
副署長 | まず少年の審判の制度というのを、かなり多分勉強されてるかな、と思うし、ある程度解っていないのかな 「被害者の会」 は。 いくらか勉強してますか?審判制度。 要するに、「被害者の会」 というのは、今の審判制度の中で不合理だと思うから、法改正しましょうと動いている訳でしょ。 我々は今の審判制度の中で動かざるを得ないのです。審判制度と法制度ですね。だから事件の傷害致死か殺人かというのは、審判制度じゃないんですけど・・・。 で、逆送というのはどこかで勉強しました? やりました?どういう場合逆送されると思いますか? |
母 | どういう場合と聞かれても・・・ |
副署長 | 要するに、親の気持ちとして刑事処分してほしい、だから逆送してほしい、そういう意味ですか? |
母 | 親の気持ちじゃなくてそれは、裁判所が判断するのでしょうけど。 |
副署長 | なぜ逆送出来ないかというのは、これは警察の説明することじゃない。
ですけど、私の知っている限りで必要であれば説明します。 というのは、審判は、もう終わっちゃっているんです。 通常の事件の場合ですね。 まず警察が第一次捜査権というのを持つんです。 今までの法律と今までの裁判の判例に基づいて、判例というのは 一つの事件があって、その事件の実態に則して、裁判して何罪になるかという判例。 で、法律によれば 「人を殺した者は、何々に処す。」 という、殺したという表現しかないんです。 殺した者は、又は、人を殴って暴行を加えて死に至らしめた者は何々に処すと。 殺すという表現がいわゆる暴行と傷害の事実をいっぱい含むんですね。で、それに基づいて警察が判断した。 警察は傷害致死と判断して事件を捜査した。その事件は警察の持っている時間というのは 48時間きりないのです。 警察が誰にも何も言わせないぞ、という時間は(逮捕してから) 48時間きりないんですね。 48時間経ったら検察官に身柄というのは、指揮権が移るんです。 検察の身柄になって、その拘留期間というのがある。 これも知ってますか? 10日間、必要に応じて更に 10日間延びます。その 20日間の間は検察官の指揮下に入るというか、一緒に捜査していって、検察官が、「これやって下さい、あれやって下さい。」 と言って。次は検察官が決めるんです。何罪になるか。 警察の手、離れちゃったんです。 今回の場合も、検察官は 「傷害致死」 として判断したのです。 警察じゃないんです。検察官が判断したんです。 で、検察官が判断して、少年事件の場合はすべて家庭裁判所に送るんです。 家庭裁判所に送りますと、少年事件というのは、罰を加えるのではないんです。 ちょっと不満でしょうけど。保護処分というのを与えるんです。 保護処分を加えるために、必要性があると見れば、鑑別所に入れるんです。 で、必要がなければ家に返すんです。ただこれは、無罪という訳じゃないんですね。 今回の場合は、家裁が保護処分の必要性があったんで、鑑別所に入れたんです。 鑑別所に入れると、家庭裁判所は 4 週間持つんです。 28日間。2週間 2週間に分かれてますけど。 4週間の間に今度は家裁が独自に調査するんです。警察がやったこと、事実が間違いがないかどうか。 要は、警察が 22日間持っていた時間より、よっぽど長い時間で全部書類を調査するんです。 矛盾がないかどうか、調査して、審判を下すのが 4週間に近いところで下すんです。 それは、16歳を越えてないと出来ないんです。 それが、逆送というんです。 検察官に送致します、今度は送致する時に決めるのが、また罪名なんです。 と、1人の被疑者に対して 3つの機関が罪名を判断するんです。 警察が、傷害致死。検察が、傷害致死。家裁は何でやるか、逆送すれば今度は成人事件と同じですからこれで終わりと。 で、家裁が傷害致死でやったのかどうかは、家裁の審判結果を見れば解るんですが、我々には、単純に 「傷害致死で処分した。」 という通知しか来てないんです。 ですから傷害致死になるかならないかの討論するよりも、警察が判断した、検察が判断した、家裁もそういう結果を出した、ということなんです。それでご理解いただけないと。 ですから、なぜなぜと言われても私も困るんです。 なぜなぜは、今度もっとうんと勉強して中身を言っていかないと。 莫大な資料を持って来ないと。 これはもう傷害致死か殺人なんて、警察だって検察だって判断が難しいし、時代の流れと共に変るかも知れません。 じゃ、この事例が・・・ |
母 | そこで、一番重要なのが、死亡時刻じゃないでしょうか? |
副署長 | いや、それは関係ないです。 要は、傷害致死になるかどうかというのは、直ぐでなくても、過失致死もあるし、傷害致死も、殺人だって、死んだ時間は全く関係ないんです。 殺意を持って刺せば、3日後に死んだって、殺人なんです。 |
母 | 殺意があったかどうかは、本人の供述次第じゃないでしょうか? |
副署長 | そんなことないんです、奥さん。 この清水生活安全課長の説明が、ちょっとまずいんです。 ですから、その点を聞いて貰いたいと思って、私が言っても多分納得しない。 ただ結論的には今回は、警察がやって、検察がやって、家裁がやって、こうなったんだと。 殺意がなくちゃしないというんじゃないんです、奥さん。 要は、ナイフで刺せば、左腕を刺そうと思って間違って心臓へ行っちゃった。殺意はないんです、左腕を刺そうと思ったんですから。 だけど、一般社会常識から言って、「人は動いているものです」 と、間違って腹に入っちゃうかも知れない、心臓に入っちゃうかも知れない。こういうの 『未必の故意』 と言うんです。で、殺人罪ということなんです。 ですから、気持ちが殺意があったかどうかではなくて、行為なんです、問題は。 |
母 | じゃあ、「金属バットや角材で頭を殴る」 という事は、殺人にはならないんですか? |
副署長 | 必ずしも、ならないんです。だから、警察も検察も家裁も、そう判断した。 |
母 | では、「 『鼾をかく』 ということが危険な状態だと承知しながら…」 |
副署長 | だから奥さん、それを私に言われても困るって言うんですよ。今の法制度の中で警察に、なぜなぜと言われるけど。検察庁も罪名変えるんですよ。家裁の審判結果も出るんです。 |
母 | 警察も傷害致死ということで判断した訳ですよね。 |
副署長 | そうそう。だから、その理論を闘争やっても・・・。ですから、今言った通り、行為の内容だとか難しい判断があるんです。 我々は傷害致死勉強するのに何日も勉強するんですよ、判例を勉強したりしながら。 |
母 | その中で、「 『鼾をかく』 ということが危険な状態だと承知しながら救急車を呼ばなかった。」 ことは、『未必の故意』 にはならないのですか? |
副署長 | ですから奥さん、今言いましたように、家裁は 4週間あるんですよ。警察は・・・ |
母 | 警察の判断はどうなんですか? |
副署長 | 警察は傷害致死として判断しました。ということなんです。 |
母 | 『未必の故意』 はなかったと? |
副署長 | 警察に言うのでしたら、じゃあ、家裁や検察庁にも同じ議論を聞いてみてくれますか。 |
母 | 今は、警察の判断をお聞きしているのです。 |
副署長 | だから警察は傷害致死と。『鼾かいた。』 ということも傷害の結果論ですから。それを放置しただけのことで。 |
母 | 『放置した。』 ということは 『未必の故意』 にはならないんですか? |
副署長 | ならないんです。ならないんです。 |
母 | ならないんですか? では、もし、司法解剖の死体検案書通りに 一時頃亡くなった。 亡くなったとして、午前 一時頃まで暴行を加えてた・生活反応のあまりない傷が多数ある・それで 一時頃に亡くなってしまった。それでも殺人にはならないんですか? |
副署長 | ならないんです。 |
母 | 死ぬまで暴行を加えていても? |
副署長 | ならないんです。 そういう、裁判結果も出てるんですから。警察が判断して、検察がやって、4週間家裁で調査してもやっぱり 『傷害致死』 なんですから |
母 | でも、警察が死亡時刻を特定しなかったから… |
副署長 | そんなことないです。 これはだって記録見た通り家裁に全部行ってるんですからね。 調査官が調べて、判断しているんですよ。 |
母 | 警察は彼ら関係者、全員加害少年らの関係者ですよね。第三者の証言はありません。全員関係者の証言ですよね。どこまで信用出来るとお思いですか? |
副署長 | それは信用できるか出来ないかは今の捜査の範囲内でやって、それを家裁が全部持って行って、検察庁が 「それでいいだろう。」 ということで送って、家裁が全部調査をして、間違いないかどうか審判するんです。 ですから、警察がやったことに対して、結論的にはそのままの流れで行ってるんです。 我々が判断したこと、検察庁が判断したこと、家裁が判断したこと、判断する時間は家裁が一番長いんですよ。審判するのに。 |
母 | 責任転換ではなくて、警察の判断として、「 2時、3時まで生きていた。」 と言う、関係者の証言を警察はそのまま信じるんですね。 |
副署長 | そういうことですね。 |
母 | 第三者の証言がなくても? 皆、彼らの仲間ですよ。 |
副署長 | いや、仲間じゃないですよ。搬送したカラオケ・グループは仲間じゃないですよ。 |
母 | 仲間です。元暴走族のグループと、その下のグループでしたよね。皆、顔見知りで仲間です。 |
副署長 | 仲間だとして、もし口裏を合わせたとしますよ。 その記録が全部、奥さんが疑問点を持った疑問が、検察官が疑問を持った、家裁の調査官が疑問を持った、で持ったとすればそれなりの審判が出ます。 持つとすれば、それなりの合理的な理由があれば、検察庁だって我々に、「おかしいじゃないか」 という指示が来るはずです。 持つ合理的な理由があればですよ。ですから、誰もがそう思うのであれば |
母 | ただ、警察が 犯人達に一番身近ですよね。どういうグループか、どういう付き合いだったのか。検察や家裁はそこまで解らないのじゃないのですか? |
副署長 | いや、解りますよ、記録が行って必要だったら皆呼ぶんですから。 被疑者のグループも居るんですから、記録も行ってるんですから。 奥さんはだって接触した訳じゃないでしょ。 |
母 | 接触しましたよ。何人かに。 |
副署長 | 「口裏を合わせた。」 と言ったんですか? |
母 | そんなこと、彼らが自分から言うはずないじゃないですか。ただ、そういう情報は入ってます。 |
副署長 | 情報というのはあくまでも、情報で。 どの程度の根拠があって言ったものか解りませんけどね。それがじゃ家裁に行って根拠として出せるかどうか。 ただ事実判断については、あくまでもそういう判断ですから。 細かい、『鼾をかいた』 とか、だから殺人になるとかならないとか、という問題は、まっ、奥さんにとっては重要かもしれませんけど、現実には全部書類に入っていて、でも家裁は殺人として処断しないんです。 4週間ですよ。4週間も家裁は調査するんですよ。 でっ審判するんですよ。審判しなければ戻すんですよ。それをなぜ家裁が殺人として審判下さないか、審判結果というのは手に入れましたか? |
母 | 審判結果は出てきませんよね。細かい書類は。結果しか。 |
副署長 | うん、警察が送った事実と、審判事由と。いかに矛盾があるかどうかが問題で。 なければ警察が捜査した段階の範囲内での保護処分を加えるのが妥当だと。問題はないと処分したんだと思います。 私の方になぜなぜと、なぜ殺人にならないと判断したんだと聞かれても、それはだから判例とか、色んなものを判断してやっただけで、警察がやったからって、検察が左右されるものではありませんと。 独立捜査権というものがあるんですから。でっそれを裁判するのは家裁なんです。 必要があれば家裁は審判事由を変えます。ちゃんと。 それをしないってことを、あくまでも一次捜査権の警察に不信を持たれても、それは困ると。 |
母 | 一番重要なのは 一次捜査権を持っている警察の捜査なのではないですか? |
副署長 | そんなことはないです。皆独立機関ですから。 日本には三権分立と言いまして、裁判所と司法というのは別なんですから。 法律作るところは別なんですから、ですから皆さんが法律改正して下さいと言っている訳ですから、皆別なんです。 独立なんです。警察の捜査には、影響されないんですから。裁判官は。 ですからその辺誤解をされないようにしてほしいと思うんですよね。 警察の捜査はあくまでも審判結果に影響するんだと、足らなければ足らないなりにやる訳ですから、検察も指示する訳ですから。 警察と検察は独立なんですから、検察の方は足らなければバンバン、それは家裁に送る責任がありますから。 ですから、これをね、あくまでもこういう文面で来て、これすべて家裁まで行った事案の処理の結果についてを、警察の方が 「何でだ」 と言われても、その通りちゃんと裁判所の独立機関が処分してるんですから、それはもう困るんですね。聞かれても。 ただ、そういうシステムについて必要だから私が来て、今説明しているだけのことで。 解らないことについては、我々の範疇外の判断の結果についても、こういう形で行くんですよ、とシステムは説明したわけですから、ですから私は録音取って貰って結構ですよと。 私はここ (加須警察署) へ来る前は、本部の少年の方の専門でやってました。ですから審判の流れというのもわかってます。 はっきり言って 清水生活安全課長の、『不良少年』 という表現は絶対いけないと思います。これは良く注意しておきます。 一般の方は裁判の流れとか良く解らないでしょう、システムの流れとか、事件の判断なんかもそうでしょうけど。 これはもう親の立場になればね、はっきり言って、動けないような状態をね…。もう調書…。 だから私の方は始めは話したくなかったんです。ちょっとやり方がひどいのでね、多分濁したと思います。 もうこれまで読んでしまったんですから、非常にショック受けたと思います。 ですから、あまり話したくなかったと言うのが事実です。奥さんには。母親には。 |
母 | いえ、母親としては、すべて事実を知りたいというのが本音です。 |
副署長 | そうですけど。我々の立場になればね、余りむごいことは話したくなかったんです。 こうにやった、ああにやったというのは、はっきり言ってですね、知れば知るほどショックが大きくなるだろうと。 とにかく、今の少年犯罪の特質というのがこれなんです。 ですから 「被害者の会」 の皆さんのを読んでも、みんなそうでしょう、やり方が。 はっきり言って 「手加減が出来ない」 というのが少年犯罪。 警察が、傷害致死と判断しても検察で強盗致死にした例もありますのでね。それぞれ独立した機関でやってます。 まっ、そういうことで、あまり奥さんにきつい言い方はしたくないんですが、ただ私としては、「うちの関係する事項じゃないから」 ということで答えないということはありません。出来る限り私としてはやりたいと思っています。 それが今の警察の被害者対策になりますから。 警察といえば、自分達の仲間をかばいたいと、思うでしょうから、私が言ったことちゃんと録音されてますから、もしこのことに対して疑問があれば、知っている方なり、法律の専門家なりに聞いてもらってですね。 また何か意見・連絡いただければ出来る限りのことはしたいと思います。 |