一、(これまで十八歳選挙権の主張が大勢になってこなかったのはなぜか)今度の問題でも、少年法で適用年齢の問題が大きな問題となり、それは選挙権と結びついた社会の組み立ての問題だということで、各党間の一致がえられた。これまで若い人たちの間で、十八歳選挙権の運動がずっとあり、世界からこんなに遅れているということが問題とされてきたが、今度の少年法の検討がきっかけとして、解決する条件が熟したという感じがある。
少年の凶悪犯罪への対応ということから迫られたことではあるが、そのことから社会の組み立てという問題に目が向き、若い世代を社会のなかでどう位置づけるかという解決策が出れば、犯罪問題を解決するうえで大きな意味をもつと思う。
一、(先進国が七〇年代に十八歳選挙権を実施したが、日本の場合はそれが抑圧された経緯は何か)例えば、六九年から七四年の時期を考えると、ヨーロッパでも、若者の運動が激しかった時期だ。長い目で見るとそのことが政治の世界に反映して、敏感に政治が対応していったということがいえると思う。日本はその点で、政治の側が保守的な構えだったということが、二十世紀の後半をふりかえっての政治論として問われるだろう。
一、(被選挙権についての考え方は)これもいろいろ議論があることで、十八歳選挙権をきちんとした上で、被選挙権の問題を議論していきたい。単純に比例的に決められることではない。
一、(十八歳未満の少年犯罪に対する罰則強化については)まだわれわれはすべての問題に答えを出しているわけではないが、今回の提唱でも「犯罪をおこした少年にたいする対処」についても今後検討してゆくとのべている。出されている問題は全部真剣に検討したいと思っている。
一、(この時期に方針を提唱したことの選挙における戦略とのかかわりは)選挙戦略というよりも、少年法改定問題についての衆院での質問段階では、「真剣に検討する」ということにとどめていた。しかしこれが国民のあいだで大きな問題になるなかで選挙を迎えるというときに、政党として選挙までに本格的な答えを出す責任があると考えて、この提唱をおこなった。
一、(少年法を改正した場合には、公職選挙法も改正するのか)民法に「二十歳以上をもって成年とする」という規定があり、それが公職選挙法と少年法にかかわってくるから、これらの問題では一括解決する必要がある。
一、(成年年齢の引き下げと選挙権をセットで議論をすることに違和感を覚える人もいるのではないか)なぜ少年には刑事責任を問わないかというと、社会的に一人前でないからという前提がある。だから選挙権も保障しない。選挙権を保障するということは、社会的に一人前と扱うことになる。十八歳から二十歳の世代のなかでも、犯罪を犯す少年というのは本当にごく一部だが、この世代の全体にたいし、刑事責任など少年法の規定だけははずすというのは、この世代にたいする社会の対応として適切でない。サミット参加諸国でも、選挙権の年齢と少年法の適用範囲の問題はだいたい一致した線で解決している。社会的権利が保障される世代は、社会的な責任も負うというのがあたりまえだからだ。
一、(国会で具体的なスケジュールにのった場合、政党によっては、少年法の引き下げはいいが、公職選挙法を待ってくれという対応を求めてくる政党もあるかもしれないが)昨日(六日)のテレビ討論会ではみごとに一致した。それはセットにしないと、世界に通用する議論にはならないし、若い世代に希望を与える政策にならない。この問題を、若い世代を日本の社会でどう位置づけるかという角度からのきちんとした答えを出さないで、もっぱら犯罪面からだけ対応するというのは、正論ではない。われわれは犯罪問題を重視するが、それを本格的に解決するためにも、若い世代にたいする社会の対応の問題として、堂々と解決したいと思っている。
2000年6月8日「しんぶん赤旗」
不破氏は、二十歳を成年とする現行規定について、十八歳で納税義務が生じ、婚姻も十八歳から男女ともに可能になること、日本のすべての政党の入党年齢も十八歳であることなど、社会の実態からみても遅れていると指摘。サミット参加諸国では一九六九年から七四年の間に、選挙権を十八歳以上に引き下げるとともに、少年法の対象年齢も多くが十八歳に引き下げられたことを指摘。「世界は若者の運動に敏感に対応したが、日本の政治の側は保守的な構えだった。政治の側の課題として問われている」とのべました。
十八歳以上を一人前の社会の構成員として責任を負うようにすれば、少年法の問題も解決する道が開けるとのべ、「この世代にたいし、政治的な権利は保障しないままで、刑事責任だけを問題にするということは、社会の扱いとして正しくない。犯罪の面からだけ問題をみるのではなく、若い世代を日本社会がどう位置付けるかにきちんとこたえてこそ、希望がもてる時代をひらく政策になる」とのべました。成年規定については、民法、公職選挙法、少年法をセットで改正する必要があるとの考えを示しました。
そして、前日(六日)のテレビ討論会(日本テレビ)で、七党の代表が一致したことをあげ、「選挙中、ほかの問題では大いに論戦をやるが、与野党が一致しているこの問題については、選挙後の国会でただちに前向きのとりくみをすすめたい」とのべました。
また、犯罪被害者の救済対策、十八歳未満の少年への対処など少年法の他の問題点についても、「真剣かつ慎重な検討をすすめる」と表明しました。
18歳またはそれ以下の選挙権………146カ国 19歳…………………………………………1カ国 20歳…………………………………………7カ国 21歳………………………………………14カ国 (国立国会図書館調査局資料から)