まず,これまでの数多くの事件に対して大変に心苦しく思います.
私をはじめ多くの方がそうかもしれませんが,このような事件の情報の多くはテ
レビ・新聞等のメディアからのみ伝わり,こう平な判断をすることができず事件
を未然に防ぐための方法を知るすべもありません.
また,事件の被害者の方がこのようなホームページを開設する一方で,加害者に
関する情報はほとんど皆無に等しいほど得ることは被害者の方以上に困難です.

このような偏った情報に基づいて,個人的な意見を述べることは大変に難しいこ
とではありますが,今回このホームページを閲覧しての感想を述べたいと思いま
す.
まず,今回の加害者のとった行動は常軌を逸脱したものであると考えています.
しかしながら,彼らがその行為に至るまでの環境はすでに整っており,いつその
ような事件が起きてもおかしくはない状態であったと思われます.さらに,被害
者の方もそのような環境の中に(自分の意思でかどうかはわかりかねますが)入
っていたと思います.もし,親がそのような状況を察知していたならばその時点
で子供をそのような環境から出してあげるべきではないでしょうか.これは簡単
なことではないかも知れません.また,これだけでは,今回の事件が回避される
だけであって同じような事件を防ぐ方法にはならないかもしれません.
次に,警察の不祥事がマスコミで取り上げていましたが,警察としてとってはい
けない行動もありました.だからといって,警察にその責任のすべてを負わせる
ことはできないと思います.警察官も人間ですので,適切な判断を欠くこともあ
るでしょう.まして,このような環境の一部を取り上げその事件だけを未然に防
ぐことは不可能であったと考えられます.つまり,いつ痛ましい事件が起こるか
もしれない環境の中での1つ1つの小さな事件(バイクの盗難等)がたくさんあ
るとき,そのうちの1つの事件が重大な犯罪につながっていると予想することは
困難なことでしょう.わたしたち社会は,むしろこのような環境に対して目を向
けるべきであると考えます.
三番目に,少年法についての議論が活発化していますが少年法をどのように改正
するのかという議論はこのような情報の偏りの中では難しいのではないでしょう
か.これまでの数多くの事件はいずれも未成年の犯行であるという共通点はある
ものの,事件に至る経緯,環境,動機は全く異なるところもあれば,共通すると
ころもあるでしょう.しかしながら,そのような事件の背景については私たちは
ほとんど知りません.しかし世論はその偏った情報にのみ基づいて刑法の適用年
齢を下げたり,重い刑を課したりする事を望んでいるように思えてなりません.

最後に,いわゆる少年犯罪を含めた様々な社会問題は私たちがすむ環境と密接に
関わっています.近所づきあいから地域社会での活動,組織の中での活動等での
問題点が複雑に絡み合って今の環境を作っているような気がしてなりません.ほ
とんどの事件を他人事として見ている状況や,人間関係の希薄化など(昔がよか
ったとか田舎の方がよかったとは断言できません)が根底にあり,その1つが今
日の犯罪に結びついており,単に親の責任とか少年の責任といった言葉で片づけ
られる問題ではありません.
先日,佐賀のバスジャックの容疑者の少年にいじめの事実は文部省のいじめの定
義に当てはまるかどうか定かではないとしていじめには当たらないとの結論を出
していました.一概にいえませんが,いじめの判断は少年自身が行うものであ
り,ある意味で少年を見捨てた行為であると考えます.これもまたマスコミの一
方的な情報に基づく私の見解ですので,中立的ではないかもしれません.

被害者の遺族の方に対して,中立的な内容のホームページを求めることは難しい
ことは思いますが,今後このような事件がおこらないためにも公平な判断が行え
るような内容を掲載してもらいたいと思います.

匿名希望:25歳大学院生