飯島京子様
少しずつ読ませていただいています。少年法に関しては、私はこれまで大変大まかな情報としての知識しかもちあわせておりませんでしたので、今回、読みきれないほどのたくさんの資料をLINKでご紹介くださって、考える糸口にさせていただいています。ありがとうございます。
被害者の会の、「少年法改正に反対する声の大きな矛盾」(草案)を再度読んで感じたことをお伝えしたいと思います。その前に、私は京子さん自身のホームページで、京子さん個人が、悲しみや、無念さや、憎しみや、友樹君への愛情をどのような表現で表現されていても、それがありのままの真実であって、だからこそ伝わるものが大きいのだと思いますから、それは素直に受け留めさせていただいています。
ただ、この被害者の会の草案は、どのような経緯でどのような発言をしている対象に向けて述べられているものかという詳細が分からないせいか、この件に関する知識のないものが、通読しますと、ずいぶん引っかかる点があります。
まず、少年が追いつめられるという言い方について、そういう言い方を反対派がしているのでしょうと推測できますが、裁判機能を導入できるのは、何パーセントかの凶悪犯罪を犯した少年だけ、という数字は説得力が乏しいと思います。法律となれば当然すべての少年が、その法の下に裁かれる可能性を考えなければなりませんし、弱い子、強い子という区分も無理があるように思います。群集心理と交友関係で群れて動く子供達は、誰もが犯罪に巻き込まれる可能性があります。
警察に拘禁される少年は嘘の自白をする、これも反対派の意見でしょう、これについても、実際には、黙秘したり、不利なことは過少に供述している場合の方が多い、と現行法の下での警察の手ぬるさをデータをもとに述べられていますが、少年法がたとえば廃止された場合、警察は逮捕した少年に対して、今のようではなくなるわけですから、反論の論拠としては不適切だと感じました。
また、冤罪の可能性をあげる改正反対論に対して、同じ論拠から、むしろ罪が見過ごされてしまう「逆冤罪」があるという例をあげて、どちらも少年法の問題ではなく、警察のずさんな姿勢が原因である、と述べられていますが、これも現行法の下での説明であって、少年法を廃止した場合の説明にはなっていないと思います。私などは、大人ですら嘘の自白や冤罪事件がなくならないのに、精神力も法的知識も乏しい子供が、大人と同じ取調べに耐えられるだろうか、と懸念します。教育の立場としては、刑法から誤認逮捕されたときの処し方とか、子供に教えなければならなくなります。冤罪は絶対あってはならないことですが、人間の下す判断はしばしば誤りを犯すと考えざるをえません。
さらに、表現のなかで、「逃げないで」とか、「ずるい」とか、不特定の読み手の気持ちに沿わない表現は、ことを説得しようと思うのであれば、マイナスにしかならないと感じました。
草案中、「少年法改正に反対して、被害者支援を訴える矛盾」という指摘もありましたが
具体的に、どこからどこまでを改正と呼ぶのかによって、大勢の人が曖昧な立場ではないかと思います。そんなに勉強もしていません。そういう世論を巻き込んでいくためには,草案は、以上の点で、練り直しが必要だと思いました。
余分なお節介かもしれませんが、ただの感想です。
皆様、お気をつけてお過ごしくださいませ。