犯罪被害者の置かれる立場は相当なものだろう。特に憤りが感じられるのは情報公開が
されないことにあると思う。
私は基本的には少年法は部分的に改正すべきであるが、その改正すべき点が被害者への
情報公開だろう。自分の子供がなぜ、どのようにして殺されたのか、それを知る権利は
当然であろう。ただし、ここで忘れてならないことは「被害者の権利を守る」という事
を振りかざして、加害者の権利を奪うことである。
こう言うことを言うのは酷かもしれないが、犯罪被害者を論じるためにはどうしても加
害者からの視点も必要だと思う。それにマスコミで「犯罪被害者を守れ」という発言は
犯罪被害者を守るのではなく、むしろ犯罪に関わった(被害者加害者双方も含めて)人
々を面白おかしく伝えるのに使われているのではないか。
やはり犯罪被害者が事件の真相を知るためには行政からの情報公開も必要だし、それを
法で定めることを早急にすべきである。しかし忘れてはならないことは、犯罪被害者の
権利は犯罪加害者の権利を奪って保護すべきものでないことだ。
殊に、矯正院での処遇を非難する人々が目立つが、一刀両断に日本の矯正を否定すべき
なのか。あの山口の母子殺し事件では「加害者を殺す」と言った。それはそれでいいの
かもしれないが、口に出すべきことではないだろう。
要するに、犯罪被害者と加害者が立ち直るためには互いに話し合うしかないのではない
か。今日の犯罪被害者に欠けている視点はそれにあると思う。こう言うことを書くとす
ぐに「おまえが被害者になったらどうするのだ」という発言も出そうだが、そう言う発
言はナンセンスである。単に自分の思考が浅く、物事を平等・不平等と言う短絡的に考
えていることを暴露しているに過ぎない。
あまりにも理想論に過ぎるかもしれないが、犯罪加害者に求められていることが、被害
者の痛みを知る事ならば、犯罪被害者に求められていることは加害者の更正を支援する
ことである。
私は大学で刑法を1年間だけ学んだが、法にも不備な点が多い。そう言うことを踏まえて
犯罪被害者・加害者双方がより良い道を進めるようにすべきなのが私たちの使命だろう