何故か、朝から気持ちがうずいた。
確か、飯島さんの日記に刺激されたのだろう。
その場所がどこかもわからずに身支度をした。
アピュイの電話番号は、携帯に収めた。
確か、北川辺町は新古河駅下車だ。
と思いつつ、つい、うっかりと高崎線と宇都宮線を間違えて、宮原まで言って、大宮までUターンである。
JR栗原で東部日光線に乗り換え、1つ目の駅である。
新古河駅は閑散とした駅だ。
なのに、駅前に沢山のタクシーがあった。
明らかに、友樹君がゲートボール場から、半死状態で担ぎ込まれた草むらもロータリーもない。
ここではないと気が付いて、反対側に移ると、駅前はもっと閑散としている。
1台の車がロータリーの傍に放置してあった。
草むらが、うっそうと広がっていた。
友樹君はどこに隠されていたのだろう。
何のために。
草むらは線路に沿って広がり、それでも、線路から離れているようにも見えた。
ロータリーの前の木の傍に1対の花が立てかけてあった。
誰かが訪れたに違いない。
昨日は、友樹君の命日だから。
そうだ、「花を添えよう」と考えたが、それらしき店すらない。
自分が、何のために来たのだろうと思いながら、アピュイに電話して、お墓を聞こうと思った。
誰も出なかったので、あきらめた。
掃除するおじさんが2人いたので、古河市はどこかと聞いたら、それは川向こうのJR駅だという。
今更、古河駅に行くのを止めて、友樹君の放置された場所は確認できたので、その風景に連れられて、周りを見ながら、歩き始めた。
それはかって、友樹君が息をし続けた空気だ。
どこまでも道が続いている。
もしかしたら、墓があるかも知れないと、少しは探してみようとも思った。
見渡せど、墓らしき姿がない。
しばらくすると、農協主催だろうか、農産物直販の店があった。
立ち寄ってみると、きれいな花が見えた。
花だけ買うには気が引けると思いつつ、お店の中をうろつくと、やはり、物価はこの田舎といえども、安くはない。
それでも、何故か、一袋450円のきゅうりを買って、そして、目をつけていた一番目立つ花を買って、駅に戻ろうとした。
それにしても、友樹君が呼び出されたコンビを見ないで、帰るには辛かった。
近くの薬局屋に寄って、近くにコンビニはあるかと聞いた。
親切な女の店主人は、信号を2つ超えた先と教えてくれた。
ここから見えるかもといって、遠見してくれたが、見えなかったようだ。
一瞬、遠いと考えた。
歩くと、10分弱という。
駅に向かおうと思った瞬間、足は、駅から離れていた。
何分か歩いて、ブーブーという異常な声がした。
変わった種のカエルと思い、静かに音に近づいた。
相手もさるもの、私の足音で、鳴くのを止めた。
信号を2つ目は行き止まりであった。
2つ目の信号を左右に見たが、コンビにはなかった。
それらしき姿に、近づいたが、インテリヤである。
幸い、2人の高校生が自転車できて、そこで、分かれるのであろう、自転車を下りて、立ち話を始めた。
友樹君にもこうしたときがあったのであろう。
2人の会話を遮って、小学校の居場所を聞いた。
東と西とどちらかというので、こちらから近い方はどちらかと聞いた。
それは東小学校であった。
すぐさま、その近くにゲートボール上があるかと聞いた。
少し、考えて、一人が私にゲートボール場を教えようとした。
流石に、小学校の方はすぐに、案内できたが、ゲートボール場の案内は困難を極めた。
熱心に、道案内する高校生に親近感を覚えた。
すると、物分りの悪さに苛立ったのか、ここらの地理に詳しいかと問い返された。
そうではないというと、より丁寧にまた、延々と道を教えてくれた。
私はゲートボール場を目指した。
振り向くと、高校生達は、まだ、私を見ていた。
ズーといくと上の道路があって、その下の道路を行くという
説明言葉が、今思うと、川の土手を指したのかもしれない。
しばらくいくと小さな川があり、橋があったので、いわれたとおりに橋を渡って、右に折れた。
一人のおばあさんが、橋の手前を曲がったので、道を聞くチャンスを逃した。
川に沿って、歩くと男女が釣りをしていた。
道を聞こうと思って近づくと、男同士で、明らかに不良である。
彼等は、友樹君を殺した仲間かもしれない。
聞くのを避けて、更に歩いて、次の橋で、反対側の老婆の来るのを待って道を尋ねたが、知らないといわれた。
それで、東小学校は、大体の感で、捉えていたので、まずは、小学校を目指すこととした。
すると、養魚場が見えた。
好奇心で覗こうとすると、遠くに見張りが見えたので、慌てて、そちらに近づくと、料理屋だった。
なまず料理のように見えたので、とりあえず、食事でもするかと立ち寄ると、なまずは、国産と輸入物、冷凍があるだけだ。
食事は朝だけで、それもうなぎ料理だけだそうだ。
ここでも、ゲートボール場の位置を聞いた。
女主人は、ゲートボール場なんて、区ごとにあると、無造作に答えた。
目ざとく、私の持つ花を見つけて、きれいですねと、疑い深そうに見られたので、たまたま、綺麗な花があったので、と即答して、その場を離れた。
土手に向かう途中、家が密集して、ゲートボール場も、小学校も見えなかった。
ようやく、土手に近づいて、小学校が見えた。
小学校には、危険防止の張り紙があった。
私が入るには、警戒される。
プールを確かめつつ、その場を去った。
それにしてもゲートボール場がない。
友樹君が暴行されるには、それなりの隔離された場所が必要である。
小学校の傍は、民家の密集で、それらしく場所は確保できない。
土手に上がったが、加害者達が言うような風景を持つ、場所がない。
土手の上から、ゴルフ場でもありそうな河川敷を見ながら、新古河駅にたどり着いた。
やはり、ゲートボール場はどこだったのかと、思いつつ、やはり、駅前に花を置くこととした。
駅には、電車が着いて、沢山の高校生が下りてきた。
流石に、みんながいなくなるのを待って、駅前ロータリーに立った。
木の傍にあった花の傍も良いが、やはり、ロータリーが良いかと、そこに花を置いて去った。
後で、分かったことだが、小学校は東ではなく、西であった。
それにしても、コンビにはどこだったかと考える。
いつか、みんなで、友樹君の命日には、花を持って、友樹君が暴行を受けて、殺されていった軌跡を辿るのは良いのではと考えた。
この町には、新旧2つの顔がある。
古い町並みは、怖さを感じる。
新しい家々は、ひっそりとひ弱さを感じる。
無駄なように見えて、この事件の真相について、私の考え、思いを整理するには役立った。
文章だけでは感じられない何かを新たに、感じた。
志田糺