私はずっと、嘘つきと呼ばれていました。
小学5年のある日、ふいに一人の子が私のことを「嘘つき!」と言って怒り出しました。その時も後からもどうして私が嘘つきなのか教えて、と言ったけれど誰にも教えて貰えませんでした。とにかく私の呼び名はその日から8年間、嘘つき、になりました。
一度嘘つきのレッテルを貼られると、誤解を解きたくても解けない迷宮に入り込んでしまいます。そして、どんなひどいイジメを受けても「嘘つき」「嘘つき」と言われると、私をイジメている人たちより、私の方がサイテーなのかなと思ってしまうのです。
ゆうきくんはバイクを盗んだ前科もあり、あやふやな発言をしたことで,嘘つきと言われたようですね。ゆうきくんは殴られながら、『僕は嘘つきなんだから反抗できないんだ・・・』と思っていたのではないかと思います。嘘つきのレッテルを貼られると自分で自分を否定してしまうのです。
日ごろ集団でイジメや恐喝をしている人たちは、自分たちのしていることはともかく、嘘つきに対してだけは集中的に怒りを爆発させます。
そんな集団に嘘つきと言われてリンチを受けるのは、どんなに自分に誇りがもてなく、どんなに孤独だったことでしょう。
嘘つきと責められることやリンチという制裁を受け入れていることから、私はゆうきくんにはバイクを盗難した罪をどうにかして償おうという気持ちがあったと思います。
アンソウルでした。