君が抵抗していたとき、
私はそこにいなかった。
君が死なんとするその時も、
私はそこにはいれなかった。
君の抵抗、そして死が報道されたけれど、
私はそのことを知らなかった。
たまに、運命が開けるように、君のことを、
私はここで知った。
ずいぶんと時間が過ぎていた。
君はその時に何を伝えたかったのか。
悔しさ、それとも悲しさ、
それとも報復を望んだのだろうか。
私は知らない。
君を殺した加害者のように、
私は君から、それを託されているのか。
君の親も、兄弟も悩んでいる。
私も同じく、悩む。
君が生きていたら、言ってくれる言葉、
しかし、ここには君はいない。
誰もが、思い思い、君を語る。
しかし、判定する君はいない。
私は君のようになりたくはない。
加害者のようにもなりたくはない。
君に代われなかった私が、
君が居ないから代わろうなぞと、
奢れる私を戒める。
誰が君に代われるというのだ。
君に代われないという苦しみが、
いま、私を責め立てる。
しかし、君を失ったことの、
残るもの、生きているものの、
少しの罪滅ぼしが、
この悲しみだとしたら。
志田糺