あなたが受験生でないのなら、是非一度、犯罪被害者の集会やシンポジウムに参加されることをお勧めします。
あなたほどであれば、殊更、犯罪被害者や御遺族の現状について新しく得る知識もないでしょう。
(あなたの御意見はヤフー掲示板で拝見しておりました) ・・・むしろ飯島さんが遭遇された報道被害(あえて、こう表現します)が、さほど珍しいことではないことに驚かれると思います。これは単に少年法の欠陥のみの問題ではなく、代用監獄に代表される「警察の密室性」と、どんな地方警察署にも存在する記者クラブが、問題の根を深くしてるのではないでしょうか。
個別のケースを見ても、どういうわけか加害少年側弁護人の文言が、そのまま記事になってる場合が多いのです。「主張通りの骨子」であれば、まだ理解できるのですが。特徴的な文言がそのまま載ってしまうというのは、警察発表を鵜呑みにして扇情的に報道するメディアの体質と、それをいち早く入手できる弁護人の職権濫用に見えるのです。
本来であれば、メディアの機能と自浄能力がそうした歪みを糺してゆくものなのでしょうが・・・ 私個人は既存の「報道と人権委員会」やBROには不満です。
報道被害ということならば、6月の阪教大池田小学校の乱入殺傷事件、・・・同期の子供が、あの小学校に通ってましてね。4年生だった彼は、親御さんが迎えに行けなかった1〜2年生達を送っていたそうです。すると、超メジャーな新聞社とその系列テレビ局スタッフが立ちはだかって、マイクを突きつけ、矢継ぎ早に詰問したそうです。
「アイツ、どんな顔してたん?」「どないして刺したん?」
凶悪犯から逃げまどい、目の前で友達が刺されたにもかかわらず、です。それと同じ口で「子供達は大変傷ついてます」と、しゃあしゃあとカメラの前で言ってのけるのです。もう、度を超した節操の無さと、デリカシーの欠如ですよね。
・・・幸い、友人の息子は利発で気が強かったので、「最近のマスコミは、無抵抗な子供に寄生するんかい! さすが、珊瑚にイタズラする系列やのう!」
と騒いで下級生を守ったようですが。
そうそう、前にも書きましたが、被害者支援の会合に出ると、運が悪ければ(良ければ?)、あなたの嫌いな処罰欲旺盛な方々に遭遇します。誰に頼まれたのか「仇討ちさせろ!」とか「さっさと殺せ!」と怒り狂う以上のことを、彼らは言いません。
ちょっとでも相手が気に入らないと「おまえに被害者の気持ちが分かるのか!」と言論弾圧に徹します。不思議なことに、彼らが加害者処罰以外の具体的な提案をしたのって、見たことないんですよ。で、集会が終わると、何事もなかったようにスッキリした顔で帰ってゆくのです。
私思うに、この手の人達って「加害者を死刑にしろ!」と叫び、「クソガキは屠殺しろ!」と掲示板に書き殴ることで、結論を出したいだけなのでしょう。結局その場限り、御遺族の生の言葉に傾ける耳なんて持ってないのです。
2年前の犯罪被害者のシンポジウムで、加害者の人権を語りだした超有名私大生がいました。当然、会場は怒号に包まれ、その法学部生は吊し上げられました。私も同感で、「場違いな野郎だ」と静観してました。・・・すると、リンチ殺人で御子息を失った御婦人が、顔を覆って退室されたのです! 30分ほどで戻ってこられましたが、彼女が口を開くことはありませんでした。
シンポジウムが終わった後、妻が声をかけると、御婦人は蚊の泣くような声で言いました。
「ウチの息子も、ああやって言いがかりをつけられて、なぶり殺されたんだって思うと、居たたまれなくて・・・」
吊し上げられた学生さんは、御遺族の方々に涙を流して頭を下げてましたが、散々怒鳴って吊し上げた輩達はさっさと帰ってゆきました。
前にも書きましたが、どんなに立派な意見を持っていても御遺族そっちのけの「場外乱闘」では、集会そのものの価値が失われるでしょう。せっかく弁護士ネットワークも組織されたことだし、もっともっと建設的な場であって欲しいと願う次第です。
zucchini