暴走族を減らすには白バイを出動させればいいと言った見方は非行少年の背景をあ
まりに無視したものと言わざる得ない。非行とは少年が抱えた心の問題を周りの人に
知ってもらう為に取る行為である。心の問題が解決しない限り当然その行為は繰り返
される。
少年達が置かれている状況は必ずしも芳しいものではない。そのことは児童虐待、
いじめ、自殺、不登校といった問題からも容易に想像がつくだろう。法務省のデータ
―によれば少年院在院者の約半数が何らかの虐待(身体的、性的、ネグレクト)を受
けていた事が明らかになっている。児童虐待の著しい増加と虐待による子供の人格破
壊という後遺症から考えれば何ら不思議な数値ではないと思う。
少年犯罪を防ぐ為には、少年達の本質的問題を解決する事が重要である。しかし多
くの人がその事を意識せずに規制すれば犯罪は減ると思っている。しかも、それがど
のような結果をもたらすか考えもしないで。
1985年校内暴力を抑えるために厳しい規制を課した。その結果校内暴力が減少した
変わりに陰湿ないじめが増加してしまった。本質的な問題に取り組まずただただ力で
抑えつけるだけだったから、校内暴力がいじめに変容しただけでなんの解決にもなら
なかったのだ。
被害者のことを考えて少年法を厳罰化せよとする主張は一定の理解はできる。しか
し、少年犯罪を減らす為に少年法を厳罰化せよとする主張に私はなんの正当性も感じ
られない。
成年になってしまったトラトラより