少年犯罪とは直接関連のない話題ですが、少年の心を考える視点からおすすめ作品を紹介させてください。私は一鑑賞者で、制作・配給会社とも制作者とも関係ないことをお断りしておきます。
 
  ドキュメンタリーディレクター坂口香津美の初監督映画、「青の搭」を、昨日、初公開最終日の俳優座劇場で見てきました。
 
 少年の心が追いつめられていく状況は、一様でないことを教えてくれます。現代の社会は、一つの命の行方について、あまりにも割り切れた扱いが常套化していて、愛するものの生と死をなぞろうとする、人間の存在を問おうとするしなやかな心には、慌ただしい物質的日常のなかで、居場所がないのだということを考えさせられました。この点では、私たち愛する者を失った大人も本当は同じであるはずです。
 
 ここでストーリーの多くをを語ることは差し控えますが、妹の事故死をきっかけに、ミジンコを育て、小さい命を見つめ続ける引きこもり青年と、離婚し、生活のための仕事に忙しい母親の、断絶し置き去りにされた二つの心の内奥と日常を、下町の運河を背景に、見事なドキュメンタリータッチで映し出しています。「翼の記録」と名付けた青年の日記も秀逸です。主演の中村佑介君は実際に5年生から不登校・ひきこもり経験者だそうです。
 
 ヒューストンの国際映画祭コンペティションでSilver Awardを受賞、 ウィーン、ミラノ、カイロ、インド、ブエノスアイレスなど、世界の映画祭に正式招待された作品で、英語の字幕がついていますから、日本語の分からない英語圏の方にも大丈夫です。
 
 国内では今後、全国公開するそうです。少年の心の問題に関心のある方はもちろん、ない方にもおすすめしたいです。
関連HPは www.BLUETOWER−MOVIE.com です。   
 
                        飯田 啓子