厳罰化によって犯罪を抑止できるとお考えの方も多いでしょうが、私はその考え方に
懐疑的です。特別予防を除けばその効果はほとんど期待できないでしょう。理由はい
くつかありますが決定的なのは厳罰化によって犯罪が抑止されたということを証明で
きない点にあります。例えばアメリカでは
1970年代末から少年犯罪に厳罰化を導入しましたが少年の非逮捕者数を人口比率で見ると
1980年代初めから1996年までは増加傾向にあるのです。また殺人に関しては1980年代半ば
から1990年代半ばにかけて2,5倍程度にまで増加しています。
このようにアメリカでは厳罰化を導入しても被逮捕者数が減ることはありませんでした。
確かに1994年以降殺人の被逮捕者数は減少していますがこの変化が厳罰化による
効果だと合理的に説明するのは困難です。

90年代に入ってアメリカで厳罰主義の弊害を立証する調査結果が出てきました。
例えば97年の少年犯罪司法制度改革のレポートに、刑事処分を受けて刑務所に送られた加害者は少
年院に送られたものより釈放後の再犯率が高いという調査結果があります。
また、少年裁判所と成人裁判所
でさばかれた少年400人を釈放後3年間追跡したところ成人裁判所で裁かれた少年
達のほうが再犯率が高く前回より凶悪な犯罪を犯しているとの調査結果もあります。
日本でも同じような結果が出ています。

厳罰化による犯罪抑止はほとんど期待できません。そればかりかマイナスに作用する
可能性もあります。確かに犯罪被害者や地域の受けた損害などの兼ね合いから刑罰は
必要だと思います。時には死刑などの重罪も適用することが必要でしょう。しかし犯
罪抑止を目的として少年法等を改正しようというのであれば少々的外れな主張のように思われます。
犯罪を抑止する為には地域の環境を変えるなり新たなナシステムを作る必要があると思います。
例えばアメリカやチリでは犯罪予防教育プログラムを学校教育に活用しています。ま
た再犯率を下げる為にアメリカではティーンズコートやBARJPなどのシステムが
とられており、ドイツでは刑務所にソーシャルワーカーを導入しています。海外では
犯罪を抑止するために様々なとりくみが行なわれています。日本にそのまんま輸入す
ることはできないかもしれませんが検討する必要性はあると思います。

                                                         トラトラより