WES さん
 
お久し振りです。
御意見に私のことも含まれていると感じましたので、割り込ませていただきます。長くなってしまいました。すみません。
 
今回、富久さんへのご意見で、「個人的な事情を伏せて」「アドバイス」をされたほうがよい、ということで、ひっかかりますが、その件については富久さんまたはnamiさんの問題として、多くは発言できません。ただ、何のアドバイスなのでしょう、と私は思います。namiさんに非などなく、憎しみを堂々と振りかざせる当事者の論理と、振りかざせない第三者の論理の矛盾、被害者の論理が他者の立場に思いを及ぼすこともなく、大上段に振りかざされたことへの、純粋な優しさからの憤りの抗議をされたに過ぎないと思います。
 
同じく、「個人的なことを述べるのは自分のため」という批判をされていますが、BBSでの行きがかりから、私のことも指していらっしゃると読みましたので、別の立場から意見をお伝えしたいと思います。個人的な背景を述べてきたのは、やまぐちやむこさんも、さちさんも、あみぼしさんも、あなたご自身も、私も、他の方もそうですが、自分のためというのはどう言う意味でしょうか。
 
意見を言うこと自体、半分自分のためかもしれません。でも、だれも、個人のプライバシーなどさらしたくないと思います。多くの方が自殺未遂や、過去の悲しい体験を語ってくださいましたが、深い傷を自分のために言いたい人がいるでしょうか。意見の根拠と背景を伝えて、聞き手の理解を助けるためではないでしょうか。また、傷ついた人がいたら、自分も経験がありますよ、というコミュニケーションの受け皿の提示でもあるのだと思います。
 
私の場合、職名も活動環境も述べています。娘の自死のことも述べています。自分のためと言われると、大変引っかかるのですが・・。結局、なぜ述べているかは理解されないまま、憶測で批判されることをとても残念に思います。このことは前にも一度お伝えしていると思います。
 
最初、私は言葉の暴力に横レスしたために、挙句、「朝日派」とか「優しすぎる」とか、もっと勉強したほうが良いみたいな、訳のわからない批判を受けました。私自身の立場も何も知らない人からです。私自身の背景を説明しなければ、到底理解されないと思い、徐々に徐々に自分の思想と言動の根拠となる個人的事情を吐き出してきています。
 
なぜ、すべての子供の命を守らなければならないか、何が契機で子供達との生活に献身し、没頭し、果てはこのような事件や、心の病理や少年法の動向に関心をもつのか、凶悪犯の多くが心の病と隣り合わせなのではないか、そのことは娘が不安定になった時の状況と地続きなのではないか、等々・・私は長い年月、帰納法で論理を追究してきています。
 
あなたの、「父親がアルコール依存で、アルバイトをして、自分もそうだったらよかった」云々、やまぐちさんへの揶揄の続きにあったので、他の方は気づかれなかったと思いますが、これは私への強烈な言葉だと受け止めました。個人的な事情を述べないほうがよいと言うのは、あなた自身のそういう弱さ、軽率さへのブレーキのためなのではありませんか。確かにあなたのような見方をされれば、デリカシーのある人は何も言えなくなります。ここで意見比べをしているわけではありませんから。
 
でも、何度も述べていますが、生身の人間の意見には、実体験なり実践の根拠があります。頭で考えた空論などではないということを説明するために体験を語り、生活者としての意見を語るのです。人と人との意見のぶつかり合いは、当然あっていいし、意見の論拠を説明できるのは個人的事情であれ、発言当事者がプライバシーを冒す覚悟なら説得力があってよろしいのではありませんか。他人様のことを例に挙げれば、それこそプライバシー侵害の罪になりかねませんから。
 
今回の、namiさんの投書にしろ個人の事情をたくさん書いてくださっているから、namiさんの悲しみの背景が、とても子供を亡くした者のほうが悲しいなどと言えない、大変なものであることが想像できます。心を無視してどんな法を語る必要があるのですか。
心に触れるのがいけないのではなく、人を思いやる心のないことが問題なのではありませんか。
 
BBSでは、あなたの気配りで、あなたの周辺では、法改正の賛否で人が対立することは少なかったと思いますが、ここでは少し違うように私は思います。
        
                              飯田 啓子