飯島京子様

今日初めてHPを拝見し、お便りします。私は横浜に住む富久邦彦と申します。
貴方様のご心情をお察しすると、現在の私と重なって、どのような言葉も虚しく、お
掛けする言葉が見つかりません。「日記」を涙ながらに拝読致しました。怒り、悔し
さ、悲しみ、苦しみ、そして虚しさ、多分生きている限り続くのでしょう。無理に心
にしまい込むことは避けた方がいいと思います。悲しい時は悲しまないと心が壊れる
恐れがあります。私はそう思っています。妻が悲しむのを止めることはしません。涙
を流さぬ日は私も妻も一日もありません。私は男だから、父親だから、何とかなりま
す。貴方様が友樹君に注いだ愛情に思いを寄せると、慟哭が止まりません。

私は今年3月8日に営団地下鉄日比谷線の脱線衝突事故で17才・高2の息子を亡く
しました。私の全てを注いだ息子でした。正義感の強い男らしい奴でした。もう直ぐ
9回目の月命日が来ます。友樹君とは事情が異なり、息子は通学電車に乗っただけで
何の過失もありませんが、親にとっては過失があろうがなかろうが、他人の手で最愛
の子供の命を奪われたことに変わりありません。暗い墓の中に入れるのが可哀想で未
だ納骨も出来ません。遺影を見る度、遺骨を前にする度に、悔しさが甦ります。こん
な小さな骨壺に納まってしまう程、骨だけにされてと。私は無宗教ですので、慰霊も
鎮魂も供養や冥福も、とてもそんな気にはなれません。まだ、怒りと悔しさと不憫さ
だけです。

他人の命を奪っていい理由はありません。命を奪ったのなら命をもって償うべきだと
強く思います。窃盗と殺人を同列に論じることは無意味です。
私もHPを開設しておりますが、私は当初、加害者(営団)の気持ちの無さに腹立ち
紛れに開設したもので、現在は営団の役職員に対するメッセージのつもりで書いてお
ります。「掲示板」はイタズラが多く、直ぐに閉鎖しました。最愛の子供を失ったも
のでしか貴方様の心情は解りません。例え、取るに足らないイタズラでも言葉として
目にするとひどく傷つきます。ですから、貴方様がお書きになっているように「BB
S]の心ない書き込みで貴方様が傷つくのを恐れます。「御意見」も実名以外は受け
付けぬ方がよろしいかと思います。匿名やペンネームの方の意見は無責任なものが圧
倒的だと思います。私にも匿名のメールが時々来ますが、全て読まずに捨てます。私
自身はインターネットの匿名性には強い疑念を持っております。

「御意見」は膨大で到底全てを読むことは出来ませんが、貴方様の意図とは別に「窃
盗」と「殺人」が論点になっているように思われました。これでは貴方様は傷つくば
かりです。私も非常に不愉快でした。「少年法」に関する意見以外は載せない方がい
いと思いました。ことほど左様に他人は無責任なものです。貴方様が最愛の友樹君の
全てをさらして「少年法」に対し問題提起された勇気には頭が下がりますが、貴方様
が傷つくのを恐れます。HPはそういう怖さがあります。私は加害者と決着がついた
らHPは閉鎖する予定です。加害者に罪を償わせるための武器に使っていますが、息
子の全てを他人にさらすのは内心、忸怩たるものがあります。

少年法は更に厳罰化すべきだと思っています。ただ、日本の司法制度は形骸化してま
すし、日本の刑法は「社会秩序の維持」のために制定されたもので、被害者への配慮
は全くありません。そう理解しております。だから、司法制度そのものを変えないと
被害者のみが死ぬ迄苦しむ状況は変わらないと絶望しております。私は、加害者・営
団に対しても訴訟は起こしません。司法制度そのものを信用しておりません。求刑を
する検察官も、被告を弁護する弁護士も、求刑の7割か8割で量刑を決める裁判官も、
みんな同じ釜の飯を食う仲間です。完全な談合の世界で、前例を調べるだけの、自分
で判断を下さぬ、いわば検索エンジンと同じです。形骸化した古い法律にしがみつく、
常識の欠落した連中です。私は一人で戦うつもりです。

悲しみは一生続きますが、どうぞ御夫君とお嬢様のためにお身体をご自愛下さい。

お気に障るような表現がございましたら、お許し下さい。

富久邦彦拝